はじめまして、昆布料理研究家の岩佐優(まさる)と申します。
昆布で出汁を取り、いりこや鰹節でさらに風味を増した琥珀色の汁で、椀物や煮物や蒸したものや揚げたものを作る。
そうこうして、心を籠めて作った料理は魂を持つ、ということを私は幼い頃に学びました。
その中でも特に昆布はごく身近にあるものでした。
煮炊きや油で揚げて間食にする、煮炊きした後の昆布は小さく切って醤油煮にする、昆布をかんぴょうで結んで昆布巻きにするなど、あれやこれやの料理。
ところが料理修行を始めてまもなくの頃、昆布のもつイメージが京料理の仕事を通じてひっくり返ったのです。
田舎で使っていた「こんぶ」という一種類の昆布だけではなく、実に多種多様な種類の昆布。
料理の用途により使い分ける昆布と料理技術。お祝い事にも昆布は様々な使い方をされてきました。
昨今、見直されてきた日本料理における「うまみ」の世界的なブームに、私の心に灯がつきました。
だしの基本である昆布をどう料理で表現するかが、私の昆布料理家としてのテーマになっています。
毎日の食卓に昆布料理を。
美味しく健康的なご飯を食べたいと願う全国の方々に、本物の昆布料理の魅力や、始末した昆布料理の真髄をお伝えしていきたいと思います。
北海道の昆布は、産地によって四種類に分けられます。
以下の四種類が日本の昆布の代表的なものです。
利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布、山出し昆布(道南の真昆布)です。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
利尻昆布の特徴は、はんなりとしたお料理にぴったりと言われています。
羅臼昆布の味は甘くて美味しいですが、だしに少し霞がかかります。
合わせだしや蕎麦、うどんのつゆなどに使います。
煮焚き物の昆布として、昆布そのものを味わうと絶品です。
昆布でも、有名ブランドが有ります。
天然・尾札部元揃え昆布一等
井寒台産長切り昆布一等
天然・香深産昆布一等
天然・黒走り一等
四大産地と言われている昆布の中でも、以上の銘柄がブランド品です。
さて、消費者の皆様や料理人の方々は、これらブランド昆布を簡単に手に入れることが出来るでしょうか?
はっきりと書きますが、少なくとも入手が可能な昆布は、真昆布の尾札部昆布だけです。
他は数十キロ単位でしか採れていないレア物ですので、なかなか入手は難しいと言えるでしょう。
しかし「市場ではたくさん出回っている」と信じてそれを買って使われている方が大勢いらっしゃるのも、事実です。
昆布だけではなく、肉や果物など食材全体に「高級ブランド」というネームバリューが付いていますが、果たしてこれは本当にこだわる必要があるのでしょうか。
特に食材にこだわったお店や人々にはそれでもいいと思いますが、普段使いにする昆布はそれほど細かくブランド化することは無いと思っています。
それよりも、本当の意味の「安心・安全・安定」を求めるべきだと考えています。
これらを踏まえ、次回は昆布採取の在り方、生産地のことなどをご紹介していきます。
どうぞお楽しみに。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
よく知られている通り、昆布のうまみ成分はグルタミン酸ですね。
このうまみ成分は、1908年に日本人化学者の池田菊苗(きくなえ)さんが発見しました。
そして酸味・甘味・塩味・苦味に次ぐ「第五の味」として世界の注目を浴び、「UMAMI」という日本語がそのまま海外でも使われるようになったのです。
しかし、昆布の味は"うまみ"だけではありません。
出汁を飲むとふぅっと心身が休まりますでしょう?
昆布には心と体を養ってくれる滋味があるのですね。
いわば豊かな海が作ってくれたミネラルたっぷりの独特の味。
化学調味料では、決して再現できない味なのです。
私たち日本人は、この昆布の美味しさを世界で最初に見い出し、何世紀にも渡ってその繊細な味わいを楽しんできました。
しかし戦後、安価な化学調味料の普及で状況は一変します。
出汁を取らない家庭や飲食店が増え、昆布本来の美味しさを知らない日本人が増えました。
出汁の問題だけではなく、日本の食卓自体がおかしな状況になっていますよね。
カロリーは過剰だけれど、本当に体が欲している栄養は足りていないのです。
昆布は日本人の調味料、また、うまみを支える基礎的な食材であり、そして千年以上の歴史のある食品であります。
二年、三年、いやさらに長期間保存をしていても、養分がほとんど変わらず、それでいて水に漬けた瞬間に滋味溢れるうまみを味わえる食材です。
グルタミン酸というものが体に入った時に、一番最初に養分伝達される場所は脳です。
そのため高齢者の介護食や老人食に、このうまみが向いているのではないかという研究結果も出てきています。
フレンチやイタリアンのブイヨンの代わりに、またはブイヨンのベースに昆布水を使うようになったのはいつの頃からでしょう?
昆布使いの認識を大きく塗りかえたのは昆布水の力です。
昆布水とは、なるべく細く刻んだ昆布10グラムに、水1リットルを注いで、冷蔵庫で3時間以上おいた出し汁のことです。
通常の出汁を取るための昆布の半分程度の量で済み、昆布水を使い切っても同じ昆布でもう一度水を替えて使えるという利点があります。
冷蔵庫で2週間ほど保存可能、雑味や粘りが少なくうまみがよく出るという利用方法です。
この昆布水を水代わりに使うことで、料理の味がワンランクアップします。
昆布水を使用した簡単スープレシピをご紹介していきます。
昆布水と昆布ガラを加えた、U(ウルトラ) K(昆布) Revolution(革命)をご紹介します。
これを鍋で柔らかくなるまで煮て、好みの味をつけて出来上がりです。
バナナや肉などと一緒に7日間食べ続けると、脂肪が燃焼し最終日には5kg程度は痩せている、という劇的な効果が出る方もいます。
人と人との出会いを繋ぐものが料理なのだと思い知らされます。
料理というのは会話の媒介であって、会話、つまり人間同士が、例えば仲のよい気のおけない友人と楽しむ時間というのが料理でしょう。
味が美味しいのはもちろんのこと、楽しいな、一緒にいてよかったなと思える相手と食事をすることが、「本当に美味しい」ということなのだと教えてくれます。
食事の楽しみを共に分かちあうことは、本当に人生の至福であると思います。
こんなふうに、昆布を始めとした料理や食べ物についてのお話をしていこうと思います。
これから、どうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
家族で食卓を囲むこと。
「いただきます」と手を併せること。
心配りが出来ること。
笑顔がなにより楽しさに変わる毎日のご飯。
家族で揃ってご飯を食べる、幸せなひと時。
そんな時間を作り出すのは日々の美味しい食事です。
今日は和食に欠かせない「だし汁の取り方」を分かりやすくお教えいたしますね。
まず、一番だしの取り方についてです。
昆布と鰹節で取るだしは、上品でクセがなく、料理を確実に美味しくしてくれます。
だし汁は料理の基本。美味しいだしを取るのは料理上手になる一番の近道なのですよ。
一番だしは、昆布と鰹節のエッセンスを取り出したスープです。
このスープがしっかりと旨みと風味を備えていれば、それだけで素材の味を最大限に引き出してくれます。
昆布の選び方は肉厚であるものが良いですね。
鰹節は既に削られたものを購入することになりますが、なるべく近々に削られたものを使用すると、より風味のある美味しいだしが取れます。
そして一度に大量に購入するのではなく、せいぜい1週間程度で使い切れる分量にして下さいね。
1.
昆布を水道で洗うようなことはしないで下さいね。
昆布の表面にある白い粉は、旨味成分が結晶したものなので、気にしなくて良いです。
2.
分量の水の中に、昆布を入れます。
入れたまま30分程おいて、昆布を水に馴染ませて下さい。
3.
その後、火にかけます。中火でゆっくりと約8分位かけ、沸騰する直前まで待ちます。
沸騰させると、嫌な味、磯臭い風味が出てしまいますので注意しましょう。
また、あまりにもゆっくりですと、ぬめりなどが出てしまうので良くないですね。
4.
沸騰直前、身の厚いところが硬いようならばもう少し待ちます。
硬くなければそこで一呼吸置き、一気に分量の鰹節を加えます。
5.
一煮立ちしたらすぐに火を止め、あくを取り除きます。
鰹節が沈み始めたら、ざるに濾し紙を敷き、静かに流し入れます。
これで一番だしの出来上がりです!
なお、鰹節は絞らないようにして下さいね。
そこで絞ると鰹節の臭味と嫌な味まで出てしまいます。
ユネスコの世界無形文化遺産に「和食」が登録されてから、昆布のことが良くマスコミでも取り上げられるようになりましたね。
和食の、そして主に懐石料理・割烹料理店の方がメディアで昆布の使い方を解説なさる際、以下のように言われます。
家庭では、なかなかこの方法は難しいですね。
昆布を使うことが面倒だなと思い、止めてしまう方がかなりいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、今まで昆布を使ったことのない人にとっては、昆布はとても難しく、家庭の料理には使えないのではと考えてしまうでしょう。
実際にその方法が、びっくりする程に美味しいだし汁が出るのであれば、心底考える必要があります。
しかし実際に試してみると、確かに美味しいだしは出ますが、料理に使用するならば普段作りの一番だしとさほど大きな違いはありませんでした。
だし汁は数日であれば冷蔵庫で保存が出来ます。
冷蔵庫で保存する場合は、2~3日程度、冷凍保存する場合でも1週間以内に使い切るようにして下さい。
いかがでしたでしょうか。
次回は二番だしの取り方と、昆布水から一番だしを取る方法についてご紹介します。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
だしといえば昆布。
また、食べる昆布としても、刻み昆布・塩昆布・おぼろ昆布・佃煮など数多くありますね。
皆さんのお好きな昆布は何ですか?
昆布の加工を扱う店も数多くありますが、それら加工品の原点が青刻(あおきざみ)昆布とも言われています。
その発祥が大阪の上町台地近辺だということです。
大阪で昆布の加工品が盛んに製造されるようになったのは、享保(1720年前後)からと言われています。
北前船が北海道へ米や酒を売りに行き、戻り船に大量の昆布などを買い付け、その良質の昆布を加工する産業が発達したためとされています。
いわゆる昆布ロードですね。
最初は利用しやすいように「刻み昆布」や青刻(あおきざみ)昆布だけが製造されましたが、次第に 「おぼろ昆布」や「とろろ昆布」など各種の加工品が生まれ、明治以降は国内のみならず中国などへも大量に輸出されました。
現在も大阪には昆布の加工・販売を行う業者が多く、大阪昆布商工同業会が設立100周年を記念し、2001(平成13)年に発祥碑が建立されました。
「昆布ロード」と最近皆さんが良く使われますが、この名前は「昆布」のことを学問的に研究された第一人者、北海道大学の大石圭一先生がとても苦心して名付けられた素晴らしいネーミングです。
昆布を出汁だけで終わらせるのはもったいないですね。
「もったいない」は今や世界共通語となっていますが、昆布にもこの「もったいない」の想いがあったからこそ、加工の技術が発達したのではないでしょうか。
昆布は和食には欠かせない食材です。
つくだ煮や松前漬けとして食べるだけでなく、昆布のだし汁は和食の汁物や料理の隠し味として世界の料理に使われるなど、多岐に渡っています。
そこで今日は世界の料理・和洋折衷の昆布料理をご紹介します。
1.
豆腐を耐熱皿に乗せ、電子レンジの解凍コースで2分加熱します。
2.
豆腐の上に皿やグラスなどで重石をして、冷蔵庫に2時間程度保存します。
3.
豆腐がすっぽり入る蓋付きの容器に昆布を敷き、豆腐を挟みます。さらに昆布を上に置き、冷蔵庫に半日保存します。
4.
昆布締めにした豆腐を取り出し、昆布はハサミでせん切りにします。
5.
昆布締めにしていた容器に、豆腐以外の材料とせん切りにした昆布を入れ、良く混ぜます。
6.
良く混ぜた中に豆腐を入れ、全体に浸かるようにします。
7.
冷蔵庫で一晩休ませたら出来上がりです。
クラッカーの上に乗せたり、トマトの上に乗せたりすると美味しいです。
バジルやルッコラ、チャービルなどのハーブにとても良く合いますよ。
チーズのような味の豆腐の昆布締めピクルス、酢昆布も一緒に召し上がって下さい。
仕上がり分量が100gなら、絹ごし豆腐が56Kcalに対してプロセスチーズは339Kcalです。
ダイエットにも良さそうですね。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
楽しいな、一緒にいて良かったな、そう思える相手と食事を共にすることが「本当に美味しい」ということです。
毎日の食事の支度は大変ですが、家族の笑顔を見たら疲れも吹き飛びますよね。
料理をきっかけに会話が弾む食卓、そんな不思議な力が料理にはあります。
和食の世界無形文化遺産登録で、海外からさらに注目度が増しているのが「だし」です。
世界中の食文化を見ても、海藻から「だし」を取るのが日本のユニークなところですね。
前回に続き、今日は和食に欠かせない「だし汁の取り方」の、二番だしの取り方を分かりやすくお教えいたしますね。
1.
一番だしを取ったときと同量(200cc)のお水を鍋に入れて、一番だしを取ったあとの昆布と鰹節を入れ、沸騰するまで火にかけます。
2.
追い鰹40gを加え、弱火で5分ほど煮ます。
3.
火を止めて、キッチンペーパーで濾して完成です。
1.
昆布10g(4×5cmの昆布約4枚程度)を、キッチン用はさみで1~2mm幅に切ります。
2.
適当なポットに昆布を入れて、水を1リットル注ぎます。
3.
最低3時間、出来れば一晩冷蔵庫に置いておきます。
4.
水出しだけで昆布のエキスが出て「昆布水」の出来上がりです。
使う昆布は、だし用のものにして下さい。
主な産地でいえば、日高、羅臼、利尻です。
味が付いた食用の昆布は不向きです。
冷蔵庫で、10~14日間保存が出来ます。
鰹のだし汁を冷蔵庫で保存する場合は、2~3日程度、冷凍保存する場合でも1週間以内に使い切るようにして下さい。
昆布水は、鰹のだし汁より長く保存可能です。
使い切ったら、昆布だけ取り出し、もう一度1リットルの水を注いで、昆布水を作りましょう。
そう、10gの昆布で、2リットルのだしが取れるのです。
もう一度、簡単な昆布水の作り方をおさらいします。
昆布を1~2mmの千切りにすると、3時間後から利用出来ますよ。
火を使わないので、夏場も簡単にだしが取れますね。
ただし、夏場は水が傷みやすいので、一晩置くときは必ず冷蔵庫に入れて下さい。
水出しによる昆布だしは、煮出しに比べて上品な昆布だしが出来ますが、もし味が頼りなく感じたら、昆布を入れたまま少し火を入れてみて下さい。
いかがでしたでしょうか。
昆布は、一番だし・二番だしに留まらず昆布のみで火を使わずに昆布だしが作れる(しかも長く保存が出来る)ため、本当に便利な食材です。
ぜひ、皆さんも昆布を使って美味しい料理を作って下さい。
笑顔が何より楽しさに変わる、毎日のご飯。
人間の本当の幸せは、お腹が満たされることなのですよ。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
北海道の昆布漁。
夏はシーズンを通して最も忙しい季節です。
6月の半ばに始まるガゴメ昆布漁を皮切りに、7月上旬の養殖真昆布漁、天然真昆布漁と、8月後半まで続きます。
早朝3時には起きて、沖へ出かけて、昆布を採ってきて、乾燥までして終わるのは昼過ぎになるそうです。小さな子供からお爺ちゃんお婆ちゃんまで、皆早起きして頑張っています。
夏の昆布漁は北海道の風物詩なのですね。
今日のテーマは、昆布水を使って夏の朝一番に摂るものです。
朝一番に摂る日本人のソウルフードは、お味噌汁です。
発酵食品である味噌は、体にとっても心にとっても大切なはずですよ。
毎朝必ずお味噌汁を頂くと、腸の調子、お肌のコンディションも抜群に良くなります。
さて、発酵食品とはどのようなものでしょう。
簡単にまとめると、食材を発酵させることにより作成する食品のことです。
納豆菌、麹菌、乳酸菌、酢酸菌などの働きによって素材の旨味が増し、栄養価が上がり、消化吸収が良くなる最高峰の保存食なのです。
例えば味噌、醤油、納豆、ヨーグルト、チーズ等が挙げられます。
発酵食品の中で、一番驚くのが鰹節とバニラですね。
しかし、発酵食品といえるのは、カビ付けと乾燥を繰り返して仕上げる「本枯れ鰹節」だけです。
鰹に付けたカビの生命活動によって、旨味が増した世界一硬い発酵保存食になるのです。
「バニラ」は鞘を収穫後、湯通しして布に包みます。
さらに発酵させ、天日に干したり布に包んだり、干したりという作業を繰り返します。
さて味噌汁に使う昆布水。
もう一度簡単に、昆布水の作り方をおさらいします。
昆布を1~2mmの千切りにすると、3時間後から利用出来ますよ。
1.具材
具材は何でもOKです。
冷蔵庫の中の余っている材料や乾物など、その他には夏の食材、ゴーヤ、オクラ、ピーマン、キュウリ、アシタバ、アボカド、コマツナ、ホウレンソウ、ズッキーニ、シシトウなど、旬の野菜なら、なおさら最高ですよ。
2.出汁
出汁は一人分180ccの昆布水。
3.味噌
味噌は一人分小さじ1.5~2。
具材や季節に合わせて味噌を選びましょう。
作り方は簡単です。
とんでもない組み合わせの味噌と具材で、楽しいお味噌汁が出来上がります。
味噌はその度に組み合わせ、具材、季節に合わせてバランスを取る食品です。
甘味のする白味噌や、わずかな酸味のある八丁味噌、麦味噌、赤味噌などですね。
そして、トッピングに香りがする吸い口を演出してみましょう。
吸い口とは、吸い物に入れる薬味のことを指します。
山椒の葉、柚子、茗荷、胡麻等などが加わると、驚くほど素晴らしい味噌汁に変わります。
私が作ったのがは、この時期の特別材料、鰻です。
昆布水に少しだけ塩と薄口醤油で味を付けた「鰻の冷たい昆布水茶漬け」です。
材料は、鰻、古漬けきゅうり、錦糸玉子、焼き海苔、白ご飯、昆布水、昆布だしガラ、トッピングは自家菜園のルッコラの新芽です。
ご飯の上に具材を乗せ、冷やした昆布だしを掛けて頂きましょう。
さて、今回はいかがでしたでしょうか?
暑さに負けず、昆布パワーでこの夏に向かいましょう。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
昆布の産地の違いというのは、結局は種類の違いということです。
一般に昆布の種類は、どの場所で、どこの浜で採れたかによって適した用途も価格も違ってきます。
そのため、商品名には必ず産地名が入っているのです。
主な産地を大きく5つに分けています。
利尻昆布は、甘くてまろやか、肉厚で風味の良い、高級出し昆布です。
出し汁が濁らず、出し気が強いので、汁物の出しに使うのに適しています。
関西方面で人気があり、養殖の利用も増えてきました。
出し昆布の他に、とろろ昆布・おぼろ昆布の加工原料にもなっています。
羅臼昆布は、知床半島で採取されるエナガオニ昆布で、巾が広く、あめ色をしているのが特長です。
道南産の元揃や折昆布に並ぶ高級昆布で、素晴らしい旨味と香りの高い出し昆布ですが、出し汁が多少あめ色に濁ります。
進物用としても喜ばれています。
以前は日高昆布の代用品として扱われていましたが、長年に渡る改良によって、良質の昆布となり、生産量が最も多く、利用度の高い昆布になりました。
なが昆布は、長さが6~15mもあり、早く柔らかく煮えるのが特長で、昆布巻や佃煮・おでんなどの煮物用に使われます。
ほのかな甘味があるので、出し昆布としても使われています。
あつば昆布は、肉厚で香りが良く、出し昆布として手頃です。
関東方面でよく使われるおでん昆布は、耳の少ない落石産が好まれています。
成熟前に採取する棹前昆布は、肉薄で柔らかく、煮昆布として、東北・北陸・九州・沖縄で良く使われます。
特に根室産の棹前昆布は、薄葉銘柄志向の北陸方面で、昆布巻用として人気があるようです。
昆布の代表的な銘柄の一つです。
コクのある味わいと、早い煮上がりが特長で、主に煮昆布として使われます。
昆布巻や結び昆布、佃煮のほか、上級品は出しのでが良いので、出し昆布としても使われています。
関東・東海・中国・四国方面で根強い人気です。
昆布の学問的分類によっても、真昆布と称されるように、良質昆布の原形とされる上級品。
白口浜・黒口浜に分けられる、元揃昆布と本場折昆布があり、共に関西方面で人気があります。
肉厚で巾広く、清澄な出し汁で上品な味わいです。
本場折昆布は巾が40cmを超える物もあり、祝儀用の飾り昆布やりゅうひ昆布としても珍重されています。
以上のことを参考にされて、スーパー、デパートなどで買われたら良いかと思います。
ちなみに私は、昆布締めを良く料理します。
なので、幅が広くて、しっかりした形の昆布を選んで購入しています。
もちろん業務用なので、皆様とは少し環境が違うかもしれません。
食事の楽しみを共に分かち合うことは、本当に人生の至福であると思います。
出逢いが出逢いを呼び、新たな命の響き合いが生まれます。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
私達の舌で感じることの出来る、味の基本は五つ。
「塩味」「酸味」「苦味」「甘味」、そして「うま味」です。
中でも「うま味」は約100年前、日本人によって発見されました。
日本の昆布は、北海道や東北など北の海でしか採れません。
古来、北海道で船に積み込まれた昆布は「昆布ロード」と呼ばれる海路を経て、全国に運ばれました。
うま味は、かつお、昆布(こんぶ)などに多く含まれる、グルタミン酸、イノシン酸などによって作り出されます。
お母さんの母乳にも成分が入っているといいますね。
今では世界でも広く認められ「UMAMI(ウマミ)」は世界共通語です。
そして昆布は、古くから「比呂米(ひろめ)」「広布(ひろめ)」「夷布(えびすめ)」と呼ばれ、縁起の良いものでした。
今でもお披露目式や婚儀には「名を広める」「恵比寿女(=えびすめ、縁起良い女性)」という意味で、欠かせないものです。
その昔、武士の社会でも、熨斗鮑(のしあわび)と搗栗(かちぐり)と昆布を合わせ、"敵を討って(鮑)、勝って(搗)、喜ぶ(昆布)"と語呂を合わせて、贈り物とされたのですね。
かつての風習として、日本の食卓には、沢山の海藻料理が並んでいます。
四方を海に囲まれた日本は、海産物を食してきたのは自然なことですが、魚介類を食してきただけでなく、海藻を食べる文化は独特なものなのです。
その歴史は大変古く、縄文時代から海藻を食べていたことが分かっています。
日本人ほど海藻を食べる民族は、世界でも珍しいと言われていますよ。
さてその昆布ですが、スーパー、デパートにはたくさんの種類の昆布が並んでいますね。
どれを選び、何を買ったら良いのか迷いませんか?
その前に、日本の皆様がどのように昆布を食しているのか、お教えいたしましょう。
まず、地域によって食べ方が違います。
昆布の食べ方や量は、地域によって異なり、昆布の歴史的背景と関連があるようです。
主に出しとして利用しています。
細く刻み、薄い紙状にしたすき昆布を食べます。
出しはもとより、肉厚の真昆布を、おぼろやとろろとして、けずり昆布にして食べます。
出しに利用するほか、おぼろ・とろろ昆布、特に佃煮にして食べます。
主に出しに利用し、加工品も食べますが、食べる量は少ないようです。
釧路・根室産の長こんぶを肉や野菜と炒めたり、煮込んだりして食べます。
本当にざっくりですが、このようなところでしょうか。
それぞれの食べ方にどの昆布を使ったら良いかは、前回のコラムをご確認頂ければと思います。
「美味しく食べたい。美味しく食べさせたい」
そんな思いを、私たち日本人は持ち合わせています。
そして毎日の食事を美味しく健康に、自然の恵みに感謝していただきます。
「昆布料理」は、そんな気持ちと食文化が生んだ、優しい調味料でもあるのでしょう。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
日本の「だし汁」はインスタントです。
近年は、料理人でも鰹節を削らない人が多いそうですね。
今は「最初から削ってある物」で、だし汁を取る人が大半なのだそう。
鰹節を削る専門の業者さんが沢山あるのですね。
また最近は、削りかすが出るから嫌だと「液体調味料」を使う人も増えているそうです。
海外(主にヨーロッパ)ですと、フォン(だし汁)を取るのに、数時間はかけています。
しかし、日本の「だし汁」は、鰹節と昆布を沸騰させる時間が少々あれば完成しますね。
これは、鰹節や昆布自体に相当の時間と手間を掛け、それ自体がほぼインスタントの「だし汁の素」として完成しているからです。
なので、昆布鰹節だし汁は、少し手を加えるだけで、だし汁が簡単に引けます。
ただお湯が沸く間に、鰹節を削ったりする手間が掛かるだけなのです。
しかも、良質なタンパク質を20~30種類も含んでいて、必須アミノ酸もバランス良く含んでいます。
ある意味天然のアミノ酸飲料なのですよ。
今回は、そんな昆布と塩を使ったさっぱり万能調味料をご紹介します。
レシピ紹介の前に、だしについていくつかお伝えしたいことがあります。
料理家である私は、二種類のだしを使い分けます。
簡単に言うと「薄味のだし汁」と「濃い口のだし汁」です。
濃い口のだしは、文字通り、濃い味のだし汁です。
昆布主体と鰹節主体の二種類があります。
昆布主体の場合は、昆布を20分以上煮出して、鰹節を入れてさっと漉します。
鰹節主体の場合のポイントは、写真のような厚削りの鰹節を、たっぷり使います。
この場合、昆布は早めに引き上げて、鰹節を入れて20分以上煮出します。
うどん、蕎麦つゆ用のだしが完成です。
昆布のグルタミン酸を前に出すか、鰹節のイノシン酸を前に出すかで変わってくるのですね。
味が優しく、上品な香りと昆布と鰹の風味を楽しむ「お吸い物」は「薄味のだし汁」です。
前のコラムでご紹介した「一番だし」です。
日本の「だし汁」は、古来から簡単で、且つ必要な栄養分までバランス良く兼ね備えた、究極のインスタント食品です。
ただし、削った瞬間から、酸化が始まり劣化していきますので、削ったらすぐに使う、もしくは食べるようにして下さいね。
朝、味噌汁を作ります。
作らないところもあるでしょうね。
この味噌汁は、近年「だし入りの味噌」といった「味噌汁の素」が、たくさんスーパーの食品棚に並んでいますが、基本は味噌汁に「だし汁」は要りません。
「昆布水」があれば申し分ないのです。
味噌は発酵食品であり、それだけで美味しいスローフードです。
長寿で有名な沖縄料理の優れたところは、濃い口の鰹だし汁を主体とした、だしの味で料理の味を決めることです。
その証拠に、長寿県の沖縄の鰹節の使用量は日本一です。
なんと日本平均の5倍弱。
塩の使用量は、全国平均の50%。
典型的な減塩生活です。
塩をだし汁で置き換えたら、今すぐ減塩生活が出来ます。
しかも、ビックリするほど美味しいです。
厚削りの鰹節を見直してみませんか?
きっと、カツオパワーに驚くはずですよ。
私の定番の昆布を使った調味料をご紹介します。
昆布と焼き干し魚のレモンソルト。
塩味の効いた、昆布の薫る磯の香り。素直に美味しい一品です。
杜松(ねず)の実と一緒にどうぞ。
1.
レモンを洗います。
水気を拭き取り、1個を4~5等分の乱切りにします。
2.
清潔な瓶に、塩・レモン・昆布、香辛料、焼き魚、塩の順に重ねて入れ、一番上に塩がくるようにして詰めます。
冷蔵庫で保存をし、時々瓶を振って上下を返し、様子をみましょう。
1週間後から使えますよ。エキスが出てくるのは1ヶ月後です。
サラダに、お造りのタレに、餃子のタレに。様々な料理に使えますので、組み合わせを自在にアレンジして下さいね。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
日本の伝統芸能、相撲。日本人なら知らない人はいないですよね。
今回は、相撲と昆布の意外な関係をご紹介します。
現在の大相撲は、1年に6回の開催。
初日の前日には、必ず土俵の安全と五穀豊穣を祈願する儀式が行われます。
行司が祭主を務め、土俵の中央の穴に鎮物(しずめもの)を埋める「土俵祭り」です。
鎮物の中身は昆布・勝栗(かちぐり)・するめ・かやの実・洗米・塩。
それらをかわらけという器に入れて、奉書紙で包み、紅白の水引を結びます。
そして、土俵中央の15cm角の穴に納め、御神酒を注いで、土で埋めるのです。
夏場所の土俵祭りを見学しました。
とても厳かな儀式です。
白鵬関などの横綱をはじめ、大関陣も列席します。
両国国技館の一階にある相撲博物館では、特別展が開催されており、この期間は実際の鎮物の中身を見ることが出来ます(2014年8月22日まで)。
なお、昆布の形状は、幅1㎝長さ5㎝ほどで、枚数は5枚ほどでした。
その昔、昆布はその形状から「ひろめ(広布)」と呼ばれました。
昆布の語源は、この「ひろめ(広布)」を音読みにした、コウフ・コウブが訛ってコンブとなったという説があります。
名前の由来は諸説あるようなのですが、いずれにしても、昆布は単に食べ物であるだけではなく、日本文化と歴史的に密接な関係があるものなのです。
そして、今もなお、婚礼などでは縁起物として用いられています。
この通りには、いくつもの力士像があります。
江戸時代後期に、両国は相撲の街となりました。
相撲という伝統文化は、両国の街に根付き、今も受け継がれています。
お相撲さんとすれ違ったり、ちゃんこのお店がたくさんあったりと、両国界隈を歩くと、ここが相撲の街であることを実感しますね。
そして本場所開催の期間中、深い祈りと共に、両国の土俵の中には昆布が納められているのです。
さて、相撲と昆布の歴史を知ったところで、昆布ご飯のレシピをご紹介したいと思います。
1.
昆布水5ℓに、約2%の塩を入れて、食べやすく切った様々な夏野菜を茹でます。
温かい内に和風のドレッシングで和えてから、少し冷やしておきます。
2.
茹で汁も、昆布出汁に野菜の旨味が溶け合って、美味しいスープストックになります。
今回は、そこにオリーブオイル、絹ごし豆腐、玉子の白身、磨り下ろした蕪を流し込み、磨り流し風のスープを作ります。
3.
それに、浸しトマトとちんげん菜を煮た物を組み合わせて、硝子の器で、冷やしサラダを作りましょう。
いかがでしたでしょうか。
相撲と昆布の意外な関係や、日本文化と昆布のつながりをお分かりいただけたかと思います。
また、夏向きの昆布ご飯のレシピも、ぜひ試してみて下さい。
昆布を使って、このような健康レシピを毎日いただくと、体脂肪も一気に落ちてスリムで健康な体になると思いますよ。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
夏の締めくくりのとうもろこしに、夏らしい炊き込みご飯と、昆布ととうもろこしのひげ茶をご紹介いたします。
そのまま食べても美味しいしとうもろこしは、大人も子供も大好きです。
ところで、とうもろこしを丸ごと買った際にはついてくるとうもろこしの「ひげ」ですが、いつも何もせず捨てていませんか?
このとうもろこしのひげ、実は色々はアレンジをして、美味しく食べることが出来るのです。
とりわけ、数年前から日本でも話題になっているのが、とうもろこしの「ひげ茶」です。
とうもろこしのひげは、中国では漢方として、欧米でも「コーンシルク」と呼ばれ、昔から健康増進に使われていました。
そんなひげ茶と炒った昆布を合わせた新しい「昆布ひげ茶」。
皮付きのとうもろこしを買えば、手作りで出来ます。
昆布は少し焙ってから使います。慣れるまでは少しコツがいりますよ。
そのままでも、お酒のおつまみとしても美味しいですよ。
1.
とうもろこしの外の皮を剥ぎ取っていきます。
最後の薄皮になったら、とうもろこしの外に出ている黒いひげの部分を握り、ゆっくり後ろに引き剥がすようにすると、皮の中の髭が綺麗に無駄なく取れます。
2.
とうもろこしのひげを、天日干しにします。
穂先の茶色と、同じ色くらいまで乾燥させます。
乾燥は天日干しで、夏場は一日もあれば十分でしょう。
空気中を浮遊するゴミや埃の付着、または鳥の糞などの落下物が気になる方は、車の中で乾燥させることをお勧めします。
乾燥をさせると、かなり軽くなります。
少し甘い香りが車内に充満し始めますと、乾燥は終了です。
乾燥開始時よりも、半分ほどの軽さになったでしょうか?
3.
余計な黒い部分をカットし、水で煮出しをします。
とうもろこしのひげが5~10gに対して、水0.6ℓが目安です。
約5gのとうもろこしのひげ(乾燥)を、600ccの水で、約400cc~300ccになるまで煮詰めます。
4.
煮詰めたら漉して、完成です。
熱くした一人分のひげ茶を湯呑に入れ、お好みで煎った昆布を加え、ひと呼吸おいてからいただきます。
これを一日に三回ずつお茶代わりに飲んでみると良いようです。
カリウムや鉄分など、女性に嬉しいミネラルを含んでいます。
利尿作用や血圧・血糖値降下作用などの、健康効果もあると言われています。
血圧が高めの方、血糖値が気になる方は、お茶
代わりに飲むと効果が期待出来ます。
生活習慣病が気になる方は、食生活に気を付けると共に飲んでみるのも良いでしょう。
昆布とうもろこしのひげ茶は、カロリー・カフェインがゼロで、すっきりとした甘みのあるお茶です。
カフェインがゼロなので、お子様でも安心して飲むことが出来ます。
カロリーゼロなので、いくら飲んでもOKです。
ほんのり甘い味のおかげで、空腹時に飲むと、間食しなくても我慢出来るのでありがたいですよ。
ダイエット中の方にも、効果が期待出来るお茶かもしれませんね。
(上記4つを材料Aとする)
いかがでしたでしょうか。
夏向きの昆布ご飯のレシピを、ぜひ試してみて下さい。
毎日の食事を美味しく健康に、自然の恵みに感謝していただきます。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
テレビの「今日の料理」や「三分間クッキング」といった料理番組、流行りのレシピ本なんてない時代のお話。
いかにして徳島の「美味い」は今に伝わり、広がってきたのでしょうか。
四国、徳島ならではの昔の「料理教室」をご紹介しましょう。
徳島の漁村では、今のようなスーパーなどはありませんでした。
ましてや、そんなところに料理屋さん、仕出し屋さんもあるはずがありません。
しかし、そこそこの「お屋敷」では、冠婚葬祭に料理人さんが必要だったのでしょう。
そこで呼ばれたのが、その辺りでは一目置かれる料理名人のおばさんこと「料理人ばっちゃん」でした。
「ばっちゃん」というのは、親しみと敬意の気持ちを込めた言葉で、お母さんと奥さんの中間ぐらいの意味合いです。
普段は浜辺で仕事をしている漁師のおばさんが、割烹着一つ風呂敷に入れて「お屋敷」に向かう、必殺料理人になるのです。
勝手口から入って、板の間で奥様に挨拶して、料理に取り掛かかります。
その頃のお膳は、今の宴会用の物からすると、かなり小さい物でした。
しかし、小さいながらも刺身皿や煮物、焼き魚の皿もあります。
吸い物は一番と二番の2つを作っていました。
そして、ういろ(ようかんのような蒸菓子)や、寒天を使った赤や緑の水ようかん風の甘い物があります。
いわゆる、皿鉢料理を小さい器に取り分けたような物です。
例えば、ぼた餅やきなこ餅だったり、あんこでさつま芋のきんとんを巻いた、出世芋を作ったりもします。
「盆と正月が一緒に来たような」晴れの日に相応しい皿数を整えなければならなかったのです。
さらに、食材はもとより、砂糖、醤油などの調味料が自由に使えない時代でも、集まった客人を満足させるよう、いかにまろやかな優しい味わいにまとめるかが腕の見せ所でした。
「料理人ばっちゃん」は、その人独自の味付けに秘伝を持っていたのです。
「お屋敷」の冠婚葬祭となると、分家筋や村界隈のお母さん達がお手伝いに召集されました。
そのお手伝いのお母さん達が「ばっちゃん」の包丁裁きを「見る」。
その所作をじっと「見る」。
『茶わん蒸しが出来ました』『煮付けが出来ました』『一番の吸い物が出来ました』と、ばっちゃんがその度に『あんばいどないや?(お味はいかがですか?)』と言って、その家の奥様にお伺いを立てて、味見をして貰ったそうです。
実はその味見をした奥様が、今度は分家筋、そして近くの家の冠婚葬祭を仕切り「料理人ばっちゃん」のように味付けをすることが多かったらしいです。
「あの時ばっちゃんは糀で作った甘酒入れた」「さっと茹でて、すぐ火からおろした」「酒粕に漬けていた魚を焼いた」という秘伝が、見よう見真似で伝わっていきました。
そして現代。
秘伝が伝わる場は、公民館の井戸端会議へ移りました。
天気の話、孫の自慢話、姑や嫁の悪口まで、実はこの公民館の井戸端会議は「プチ秘伝交換会」に変わるのです。
お茶うけに持ち寄った漬物や料理を前に「この茄子漬け美味しい!」「これどないして(どうやって)漬けたん?」「いたずり(虎杖)はどないしたら色良くとっておけんの?」といった具合ですね。
徳島の人は間違いなく食いしん坊です。
「料理人ばっちゃん」の時代から、そして今でも徳島の「美味い」は、口伝えでそれぞれの食卓に広がり、受け継がれていきます。
そんな伝承された料理は、こんなところにも活かされています。
徳島では桃の節句の頃、恒例行事「遊山遊び」があります。
遊山箱(ゆさんばこ)は、三段重ねの重箱です。
子供達が野山歩きに出かける時、巻き寿司ずしや煮物、ういろうなどを入れる弁当箱として持って行く風習がありました。
ぽかぽかと暖かい日差しを浴びながら、磯の浜辺や山やれんげ畑、皆思い思いの場所でお弁当を広げます。
遊山箱に詰めた数々の料理を楽しみに、子供達はこの箱を持って山や海に出かけるのです。
この風習は消えつつありましたが、最近またこの「遊山箱」ブームが徳島で再熱しています。
子供達にこの楽しい行事を伝えていこうと、各地で「遊山の会」が催されるようになってきているのです。
ぜひ、皆さんに遊山箱を知っていただき、日本の花見に欠かせない花見、そして野山や川でお弁当を広げる楽しさを、この遊山箱でお子さんに伝えて欲しいと思います。
いかがでしたでしょうか。
今日のように、インターネットやテレビ、雑誌がない時代から、見よう見真似や井戸端会議で美味しい料理方法が伝わっていました。
そして徳島では、今でも「遊山の会」という形でお弁当を見せ合う場が開かれているのですね。
皆さんもたまには、家族や友人から独自の調理法・味付け方法を聞いてみてはいかがでしょうか。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
今回は、前回ご紹介した「遊山箱」に必ず入っていた、「昆布水水ようかん」の簡単料理レシピをご紹介したいと思います。
材料は昆布水、小豆(あずき)、寒天、葛粉、砂糖のみです。
小豆はデンプンとタンパク質で出来ていて、ビタミンB1を多く含んでいます。
ビタミンB1は筋肉の中に疲労物質が溜まることを防ぐ働きがあります。
筋肉を使って疲れたとき、また筋肉痛や肩こりのあるとき、小豆を食べれば症状が改善されますよ。
また、小豆の外皮には、利尿や便通を促進するサポニンという成分が多く含まれています。
さらに、二日酔い改善の効果もあるのです。
流し缶1枚分(12×15×4cm)
和菓子屋さんなどで、小豆こし餡やその材料となる生餡を手に入れることが出来ますよ。
簡単な昆布水の作り方
いかがでしたでしょうか。
幼い頃のあの時、樹の上の小屋で遊んだ葉っぱの匂いや、潮が作った海の匂い。
母と二人、小麦畑で昼ご飯、井戸水の清々しい香りや土の匂い。
そんなひなびた記憶を、この味は思い出させます。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
日本の近海には、1000種類以上の海藻が生息しています。
その効能は古くから知られ、高血圧や動脈硬化、心臓疾患によるむくみなどの治療に用いられてきました。
明治期に書かれた『薬の民俗学』には「真昆布、薄毛が毛深になり、赤毛は漆黒になる」とあります。
海藻と海草は、いずれも「かいそう」と読みますが「藻」は花や実を付けず、どの部分も同じ栄養があるものです。
「草」はアマモのような植物で、花をつけ、食用にはなりません。
わかめを漢字で「若芽」や「若女」「若布」と書くことがあります。
肌の艶を保って老化を防ぐ作用や、美容効果があることが、古来より認められてきたからです。
近年の栄養学でも、海藻類には、カルシウム、マグネシウムといったミネラル、ビタミン類、食物繊維が豊富で、肥満の予防に役立つことが知られています。
海草類に含まれる脂肪酸「アラキドン酸」は、脳の神経細胞の生成に役立つとされています。
一日の始まりである朝ご飯に、わかめの味噌汁をいただくのは、脳のためにとても良いことなのですね。
ここ近年、いささか注目を浴びているメニューがあるとすれば、それは朝食ではないでしょうか。
朝食プランが充実したホテルに人気が集中したり、"世界一の朝ご飯"のキャッチフレーズを掲げるお洒落なお店が登場したり、世界各国の朝食が食べられるカフェが登場したりしていますね。
朝ご飯のテーブル周りは、実に賑やかなこの頃です。
考えてみれば、朝食というのは、一日3回の食事の中で一番あやふやな立場の食事かもしれません。
昼食や夕食はしっかり食べるという人も、朝食はコーヒーだけだったり、おにぎり一つだったりしますよね。
普段は全く摂らないという人もいますから、反対に朝から手間をかけて、美しく作られた食事をいただくと、何だかとても優雅な気分になるというものです。
非日常を楽しむ旅館やホテルの朝食にワクワクするのも、こんなところに理由があるのかもしれません。
日常の暮らしの中でも、例えば週末は少し早起きをして、朝食のテーブルを豊かに充実させてみるというのはいかがでしょうか。
いつもは食パンにジャムという方は、少し凝ってシナモンの香り高いフレンチトーストを作ってみたり、和食党の方であれば、ほっこりとお腹が温まる昆布をたっぷり使って、お粥をコトコトと煮てみてはいかがでしょうか。
京都の宿では、朝のご飯に昆布を土鍋に敷き詰めた湯豆腐は、定番です。
食卓にお花も飾って、朝日を浴びながらたっぷりと時間をかけていただく朝ご飯は、慌ただしくも単調に続くように感じられる日常に、小さな非日常のときめきをもたらしてくれます。
そんな朝ご飯を、"ご褒美朝ご飯"と呼びます。
豊かな人生を送りたいと願うならば、時間は浪費をするのでも、短縮するのでもなく、人生を感動で彩るために賢く使うべきなのでしょう。
そう考えると、朝ごはん一つもいい加減にはしたくない、そう思うのです。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
いよいよ、今年の新昆布が皆様のお手元にも出回る季節になりましたね。
昆布業界にとってはお正月を迎えた様な気持ちで、一年中で一番気合いが入る時なのです。
新物の天然真昆布が出荷されるのはもうすぐです。
ところで皆様ご存じですか?
鳴尾浜温泉熊野の郷では、昨年も好評だった利尻昆布風呂が登場しました。
やや黒褐色で、上品で清澄なだしが取れるため、懐石料理などで使用されている利尻昆布を北海道から取り寄せて、昆布から出る成分と香りを楽しんで貰うそうです。
利尻昆布には、昆布のヌルヌル成分の中にあるアルギン酸の効果で毛穴の汚れを落とし、肌の表面に膜を作るので、保湿効果があるとされています。
また、フコイダンという食物繊維の一種が含まれており、主な働きとして糖尿病の予防、高血圧の予防、動脈硬化の予防に注目されています。
「昆布エキス」は髪と頭皮に優しく、ヘアトリートメント成分(アミノ酸、植物エキス、オリーブオイル、ホホバ油、スクワランオイル)で髪につやを与え、健やかな髪へ導きます。
アイルランドには「海藻浴」という、様々な海藻を玉ねぎが入った茶色のネットのような物に入れたお風呂用の商品があります。
それを日本の北海道産の昆布を使用し、「昆布浴」を試してみました。
まず香りが違います。
もっとも、アイルランドの「海藻浴」には、ほとんど昆布が入っていないようですが、今回はぎっしり詰めました。
お風呂場に海藻臭さはほとんど感じず、お湯に入るとこれまで以上にホカホカ・ツルツル感があります。
冷え性の方には、冬場にお薦めですね。
フコダインは、海藻独特の「ヌルヌル成分」のことです。
その粘り成分は、美容と健康に欠かせないということで注目されています。
フコダインは、海藻の葉にある粘膜管から分泌され、葉や茎が海中で痛んだときに、そこから細菌が進入しないように防御してくれる役割があります。
これが、肌や髪の保水能力に非常に優れていることが分かっています。
そこで、夏のダメージケアに最適の、かごめ昆布を使った昆布ローションをご紹介します。
(昆布エキス抽出のために使用しますが、日本酒もお肌をしっとりさせます。)
(薬局で購入出来ます。保湿作用があります。)
(アロマテラピー専門店で購入できます。お肌の修復を助けます。)
特に、日焼け後のケアに最適です。
自己使用目的で、自己責任の範囲でご利用下さい。
お肌に異常がみられた場合には使用しないで下さい。
作成したローションは、冷蔵庫保管で3ヶ月を目処に使いきって下さい。
ちなみに純米酒に浸した昆布は食べることが出来ます。
佃煮や煮物にご利用下さい。
昆布は美容だけでなく、日常のちょっとした健康にも大活躍します。
たとえば吐き気がしたり頭痛がする時は、生姜を摺り下ろして梅干しを1個入れ、昆布水から煮出した熱い番茶を注ぎ、飲むと症状が和らぎます。
またお腹が痛い時は、さらに醤油を数的垂らして飲んで下さい。
気が付いたら痛みが収まっているはずです。
日本伝統の食材をうまく活用し、美しく健康的な生活を送って下さいね。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
そろそろ鍋が恋しくなる季節です。
鍋を作るときにも、必ずと言って良いほど、出汁昆布を入れた水を沸かすところから始まりますね。
鍋が美味しい季節に楽しみたいのが、日本の季節風呂。
日本酒のお風呂、柚子風呂、そしてなんと煮込まれる鍋の材料のごとく、昆布風呂なんてものも存在します。
さて、日本人が世界の長寿国なのは、お風呂好きだからとも言われていますね。
お風呂に入って「ああ、気持ちが良い」と感じるのは、体内の気の流れが活発になった証拠です。
日本では、季節を味わいながら入浴をする「季節風呂」の伝統があります。
有名なところで酒風呂でしょうか。
酒風呂とは、お風呂に日本酒と粗塩を入れて入浴する方法です。
お酒の量は、一合から一升瓶をまるごと入れるなど色々ありますが、体調に合わせてお好みでどうぞ。
日本酒2~3合、粗塩ふた掴みほどで良いと思います。
パック酒でも良いです。ただし、合成清酒はNGです。
清酒は大丈夫です。
特に疲れた時やストレスが溜まっている方は、日本酒5合、粗塩1キロを入れ、42度以上にならないようにゆっくりと入浴して下さい。
顔や頭も時々浸けて下さい。
途中、頭や体も奇麗に洗うと、ゴマージュ(角質落とし)されます。
お湯に浸かると毛穴が開き、血の巡りが良くなり、体内の毒素が汗と一緒に体の外に出るのです。
日本酒と粗塩を入れることにより、毛穴は更に開き、血行も良くなります。
手足が冷えるだけでも辛いですが、腰痛・肩こり・頭痛、そして、便秘や生理痛、不妊症等も冷えが原因になっていることがあります。
お風呂に入ると体が温まりますが、冷え症の方の場合は、湯冷めをしてしまうという方も。
酒風呂は、お風呂から上がった後もポカポカが持続します。
老廃物を自然に体の外に追い出してくれるので、副作用やストレスのない自然なダイエットが出来ます。
冷えが改善されることで、便秘や神経痛、体のだるさが解消することも多いようです。
体の芯から温まるので、朝まで熟睡ができ、前日の疲れはすっかり取れます。
スッキリと目が覚めて、元気に一日を過ごせるようになるわけです。
日本酒に限らず、ワイン風呂、吟醸酒や、純米酒など、少し豪勢と思えるくらい入れると、香りが良くて、さらにリラックス出来そうです。
アロマ風呂も愉しいですが、日本独自の、日本酒を愉しむことも文化の伝承ですね。
波が打ち寄せる石ころだらけの海岸線に、何件か家が建っています。
そこは、北海道、知床半島の東岸、瀬石温泉よりさらに先の相泊集落にある相泊(あいどまり)温泉、露天の温泉です。
小石が続く海岸に、ポツンと温泉があり、小石の海岸を掘って木枠で浴槽が作ってあります。
海側は開かれていて、海を眺めながらお湯に浸かることが出来ます。
お湯は湯船の下から湧き出ています。
時化の時は、昆布が打ち寄せられ、湯船は昆布だらけになります。
少しなら良いのですが、あまりに多いと、昆布から出る油で温泉に入れなくなります。
この温泉は相泊(あいどまり)の漁師が、昆布漁で冷えた体を暖めるために作ったものなのです。
湯船の底の小石の間から熱いお湯が涌き出ていて、お湯は澄んだ食塩泉。
時々温泉の泡も湧いてきます。
お湯は源泉そのままで、かなり熱いので、5分も入っていられません。
体が熱くなると、外に出て潮風に当たるのです。
波の音を聞きながら、昆布の香りが鼻腔をくすぐります。
ところで、私は京都に住んでいます。
嵐山から少し行った所に「柚子の里・水尾」という場所があります。
ここの柚子は有名で、柚子風呂や料理などを楽しめる民家などがあります。
周りも綺麗な自然に囲まれています。
JR保津峡駅から行くことが出来ますよ。
ご家庭での柚子風呂の作り方としては、そのまま入れたり、また輪切りにする入れ方も簡単で良いですね。
輪切りにした場合、柚子の種などがお風呂の中に落ちたりするのを防ぐために、袋や手ぬぐいなどで包む入れ方も良いかもしれません。
他にも、初めに輪切りした物を鍋で煮て、その後お風呂に入れるやり方もあります。
そのまま入れる方法に比べて、成分が良く出て、より柚子風呂の香りを楽しめます。
お風呂にそのまま入れた柚子は、そのまま捨てると勿体無いです。
後で食べることも忘れないようにしたいものです。
また、一年に一度と言わず、頻繁に柚子風呂に浸かって、ゆっくりするのも良いかもしれませんね。
珍しい昆布温泉を始めとした日本伝統のお風呂を紹介して参りましたが、いかがでしたでしょうか。
日本酒や柚子をお風呂に入れて、健康になりましょう。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
さて、人恋しくなる秋、そんな時の料理は鍋が一番ですね。
昆布だしの文化が、関東でもポピュラーになったのは、昭和に入ってからです。
私は、昆布だしと比較される「だし」と、昆布と鰹節の「合わせだし」は全くの違う物と思います。
昆布だしで鍋といえば、関西では水炊きです。
味のベースは昆布だしでありますが、スープが主役ではないのですね。
家庭での鍋と言えば、やはり水炊きですが、大阪らしいと言えばハリハリ鍋ですね。
これは大阪の味というイメージがあります。
そしてだしが美味しい。
良い「だし」とは、気付かないうちに飲み干してしまうのです。
何故か分からないけれど、いつの間にか喉を通っていくのです。
昆布と一言で言っても、様々な種類があるのです。
「てっちり」など淡白な味わいの物には、つめ昆布という、おぼろ昆布を削ったあとの白黒の昆布を使うのがお勧めです。
むしろ、昆布だしを取るというよりは、河豚から出るアクや臭みを取るための役割が大きいからです。
「てっちり」は、最高級の昆布と言われる羅臼産を使います。
続いて、利尻産です。
全国的に人気があるのが日高産で、最も良く売れている昆布です。
大阪ではだしを取るよりも、炊いて食べることが多いです。
それぞれ特長があり、昔の人は使い分けをしていたのですね。
昆布だしは黒子であり、決して主役ではないけれど、主役を引き立てるためにはなくてはならない存在です。
鍋の主役を引き立てるための黒子なのだと思います。
「鯖の酒蒸し」や「鯵の昆布蒸し」などは、日高昆布を良く使います。
昆布の上に、青魚や牡蠣、蛤などを乗せ、蒸し器で蒸したあとに、合わせだしを拵え、料理にかけて食べる逸品です。
この料理の「だし」は、昆布のみの単体ではなく、複数の物が混ざりあった合わせだしだからこそ、その魅力が引き立つのではないでしょうか。
鰹節やいりこ、干し椎茸など、だしには複数の物を使うのがお勧めです。
つまり、旨味を単体で捉えるのではなく、組み合わせによる、より複雑な世界を楽しんで欲しいですね。
それが、料理の奥行きや深みを生むのではないでしょうか。
昨年12月、和食文化がユネスコの無形文化遺産に登録されました。
以上の4点が評価されました。
和食の特徴の一つが、肉より魚をメインにする点です。
どんなに寿司や和食が国際的になっても、フランス人やアメリカ人の一人当たりの魚の消費量は、日本の半分程度。
日本人はポルトガルや韓国と並ぶ、世界有数の”魚好き民族”です。
魚、とくに鯖や鰯などの青魚、鮪や鮭には、エイコサぺンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)といった、”オメガ3不飽和脂肪酸”が多く含まれます。
この脂肪酸は、血液をサラサラにする効果があり、日本人に心筋梗塞が少ない理由の一つと言われています。
また、9万人の日本人を対象にした調査によって、オメガ3不飽和脂肪酸を多く含む魚を良く食べる人は、ほとんど食べない人に比べて、肝臓がんを発症するリスクが4割近く下がることが分かりました。
しかし、日本人の魚の摂取量は昭和63年をピークに減少が続き、平成18年には肉の摂取量が上回ってしまいました。
和食文化は日本人の健康長寿の理由の一つ。
今回は簡単で美味しい、昆布を使った鍋料理をご紹介いたしましょう。
大阪では有名な「鯨のハリハリ鍋」。
鯨は高価で中々手に入らないので、身近な「かまぼことちくわ」と豚のスライスでアレンジしてみました。
A
B
■ 鍋の具材
■ 薬味
1.
Aを鍋に入れ沸騰してから5分以上だしをとり、だしパックと昆布を取り除き、Bを入れ5分くらい煮て、豚バラからだしを出す。
2.
鍋の具材を入れて沸騰をして、5分くらい煮たら出来上がり。
3.
好みですりごまや柚子胡椒をかけてどうぞ。
おだしも一緒にいただくのをお勧めします。
鯨と水菜のハリハリ鍋は、鯨の身に片栗粉を付けて鍋に入れる場合がありますが、豚バラ薄切り肉に片栗粉をまぶしても、ツルツルとして美味しくいただけます。
オメガ3不飽和脂肪酸は魚以外にも胡桃に多く含まれますが、最近はこうしたナッツ類を多く食べる人に、心臓病やがんが少ないことが分かってきました。
お肉や脂っこいものばかりではなく、お魚などの体に良い食材もバランス良く食べ、健康な体になりましょう。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
「男子厨房に入るべからず」などと言われていたのは嘘か真か。
いずれにしても、料理が上手な男性に出会うことは、決して珍しくなくなりました。
「男子厨房に入らず」と言ったのは、元々孟子が言った「君子遠庖厨」(君子厨房には近付かず)からとのことです。
本来、厨房という場所は家畜や動物を屠殺する場所でした。
その時の鳴き声や血の臭いを感じると、徳の高い人が食べにくくなってしまうと配慮した言葉らしいのです。
それが日本に伝わってきた時、当時は男尊女卑の文化もあったため「君子厨房に近付かず」→「君子厨房に入らず」→「男子厨房に入らず」と変化して来たと考えられています。
しかし 現代において「男子厨房に入らず」は死語ですね。
メディアでは、イケメン男性タレントがオリーブオイルを多用して話題になっている時代です。
中には料理人顔負けの料理を振る舞ってくれる人もいて、素晴らしい腕前に感激させられることも珍しくありません。
かつては女性が通うものだと思われていた料理教室にも、男性の姿が見られるようになり、男性の参加を積極的に呼びかけている料理教室も見受けられるようになりました。
今年発表されたリサーチによると、20代から60代の男性の約20%が「定期的に料理を作っている」そうです。
「時々作っている」人を合わせると、半数以上の男性が台所に立って料理を作っていることになります。
その理由で一番多いのが「料理が好き、楽しいから」。
次に「家事に参加するため」と続いており、特に20代30代の若い世代の男性が積極的に台所に立っているようです。
若い世代に関しては一人暮らしの必要に迫られて料理をするという人も多いようです。
少し前の世代の常識では「家庭料理は女性の領分」とされていた家庭も多かったはずですから、大きな変化を感じておられる方もきっと多いのではないでしょうか。
家庭内での男女の仕事の垣根は、ほぼ無くなったとも言えるでしょう。
こうなって来ると、気になるのはお互いの味覚と料理の腕前ですね。
食べ物の趣味がぴったりと合えば言うことはありません。
しかし、味覚の不一致はケンカの種にもなりえるようです。
育ってきた環境が違えば、食の好みも様々です。
美味しい料理を作れる男性というだけでも、好感度のアップは間違いありません。
もちろん、女性でも美味しい料理を作れる事は大きな魅力です。
数ある欲の中でも、食欲と睡眠欲は、ある程度満たさないと生きていけません。
そんな一つを満たすことの出来る相手というのは、とても大きな存在なのです。
だから料理が出来る人というのはモテ囃される訳ですね。
ということで、今までお料理と無縁だった男性も、是非厨房に立ってみて下さい。
実際に自分で作ってみると、色々分かってくることがあります。
特に理系男子なら、食材をいじることが楽しくなってしまうかもしれません。
例えば私は徳島県の出身ですが、関東の醤油の効いた味付けを、最初はどうにも受け入れられませんでした。
しかし関東の人は、私の料理は甘過ぎると言います。
「どうして何にでも醤油をかけるのか?」「どうして何でも甘くしてしまうの?」と言い合いながらも「これはこれで有りか」と、他者を受け入れることが出来る経験というのも、料理を通してこそではないかというと、少し大げさでしょうか。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
最近 富山県では昆布入パン、昆布スイートが流行っているそうです。
確かに富山県は一昨年までは、一所帯当たりの昆布の消費量は日本一でした。
今回は、昆布の少し変わったアレンジグルメをご紹介します。
富山県では、昆布を他の地域ではない特別の使い方をしています。
まず 一番は「昆布締め」ですね。
食べられる物は、とにかく一度は昆布で締めてみようという昆布精神がとても強いですね。
そしてそれが美味しいのです。
次は「おにぎり」です。
普通コンビニで売っている「おにぎり」といえば、海苔で巻いているのですが、富山県ではたっぷりのとろろ昆布をまぶせてあります。
そして「昆布巻きカマボコ」です。
魚のすり身を昆布で巻き込んだ「渦巻き上のカマボコ」が、富山のどこのスーパーでも普通に売っています。
最後は冠婚葬祭のお土産や茶の子には、昆布が使われます。
この消費量がものすごい。
関西では「よろこんぶ」と言って、お祝い事に良く昆布を使って頂きますが、忌み事に使われる方は稀です。
白パンは最近流行ってきていますが、あまり発酵時間を取らなくても焼けるそうですね。
その白パンに佃煮昆布を入れて、昆布入りパンを作ります。
その佃煮昆布は甘い方が良いか、それとも甘くない方が良いのか、どちらでしょう。
甘過ぎる佃煮昆布は、お子さんには食べさせない方が良いですね。
元々佃煮昆布は、塩昆布といってほとんど砂糖は使わずに、少しだけお酒を足して作っていました。
しかし、食べ易さを求めて出来るだけ柔らかく、たくさん食べられる様にと甘くしてきました。
話は変わりますが、30数年前、大阪心斎橋の喫茶店のメニューに、細切り佃煮昆布のサンドウィッチがあったそうです。
パンに昆布佃煮だけを挟んでいるだけだったのでしょうか?
それとも、他の具材やマヨネーズなども一緒に挟んであったのでしょうか。
富山県、大阪には不思議な食べ物沢山ありますね。
さて、そんな色々な変わった昆布を使った食べ物を見てきましたが、今日ご紹介しますのが塩昆布を丼にアレンジした、とても美味しい昆布料理です。
分量はお好みでどうぞ。
1.
玉ねぎをスライスして水にさらします。
後の材料は、角切りなり、乱切りなり、お好きなように切って下さい。
2.
ボールにサーモンとアボカドと塩昆布を入れます。
それに昆布つゆとごま油、レモン汁に漬けて、しばらく置いておきます。
3.
白ご飯を丼に盛って、海苔をパラパラ散らします。
そこにボールに漬けていたサーモン・トマト・塩昆布を乗せます。
さらにトマトと玉ねぎを上に乗せ、お好みで葱や大葉を散らせば出来上がりです。
レモン汁をわさびやコチュジャンに変えて、アレンジを楽しんで下さい。
甘いつゆなので、パンチをプラスするのがコツでしょうか。
余った漬けダレは、盛り付けてから上からかけて下さいね。
富山や大阪の変わった昆布料理と、栄養満点の美味しいアレンジ塩昆布丼のレシピを紹介してきました。
皆さんも、ぜひ一度試してみて下さい。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
今日は「とろろ昆布」のお話です。
どうして、そのまま食べても美味しい昆布を、先人達はわざわざ薄く削ろうと思ったのでしょうか?
北海道から遠く離れた北陸地方。
江戸時代、北海道で獲れた昆布を京都まで運ぶ際、経由地となったのが福井県・敦賀でした。
一説によると、長時間かけて運ぶ間に、昆布に生えてしまったカビを取り除こうとして、包丁で薄く削ったのが始まりだとか。
そうして出来た薄い昆布を試しに食べてみると「美味い!」となったのでしょうね。
そんな偶然の産物であるとろろ昆布には、薄く削るからこそ得られる「ウマミ」や「ネバネバ」がいっぱい含まれています。
とろろ昆布の魅力、再発見してみて下さい。
「とろろ昆布」には、水溶性食物繊維に含まれるアルギン酸とフコイダンが豊富に含まれており、これらが小腸で脂肪や糖分を抱え込み、吸収されないまま体外に排出してくれる特徴を持っています。
つまり、「とろろ昆布」はダイエットの大敵である脂肪分や糖分の摂取を抑え、太りにくい体質に導いてくれるというわけです。
海藻成分で、水に溶ける水溶性食物繊維。
昆布やわかめなど、海藻類の細胞間物質に含まれているゼリー状の多糖類で、海藻のぬめり成分を構成しています。
アルギン酸はカリウムと結びついており、腸内でカリウムを放出することで、ナトリウムを吸着して体内での吸収を防ぐことから、高血圧の予防、血中コレステロールの抑制作用、血糖値の上昇抑制作用、便秘解消、動脈硬化の予防などの効果が期待出来ます。
海藻に含まれるヌルヌル成分で、多糖類です。
この多糖類は、コレステロールや中性脂肪、血糖値の低下、肝障害の改善、抗がん作用、ピロリ菌の抑制、抗アレルギー作用などを改善してくれる、大変優れた成分です。
その他にも「とろろ昆布」には、ヨード、カリウム、カルシウム、ビタミンB群と、体に良い栄養素が含まれています。
中でもカルシウムは、牛乳の何倍も含まれているという優秀な食材です。
さらに「とろろ昆布」について特筆すべきは、極薄に削られている点にあります。
細胞が細かく削られていることで、成分の吸収効率が良く、食物繊維を普通の昆布よりも多く摂取することが可能になります。
特に、中性脂肪値の上昇を抑える水溶性食物繊維が、体内に取り入れやすくなるので、ダイエットだけでなく、健康維持のためにも効果的に作用するというわけです。
また、「とろろ昆布」は体の中に入ると水分で膨張するため、早く満腹感が得られることから、食べる量を自然に抑える効果も期待出来ます。
「とろろ昆布」を食べ続けることで便秘が解消された、髪の毛がつやつやになった、肌の艶が良くなったという美容効果も報告されているようです。
1.
湯掻いたそうめんと、とろろ昆布をマヨネーズと塩で味を付けます。
2.
10枚切り食パンにバターを塗り、間にとろろ昆布そうめんと、お好きな野菜を挟み込みます。
とろろ昆布には塩味がありますので、味をみながらマヨネーズを加えて下さい。
ボリュームがあって、とてもヘルシーなフライです。
お吸い物やおにぎりに巻いて食べたり、とろろ昆布をフライの真ん中にサンドしています。
1.
はんぺんを真ん中から切り込みを入れて、とろろ昆布と他の食材も挟み込みます。
2.
衣を付けて、油で揚げてフライにします。
出来上がりはふわふわです。
外の衣がさっくりとして、大変美味しく出来ます。
ただし 揚げたらすぐ食べて下さいね。
はんぺんがしぼんでしまう前に食べ切りましょう。
1.
玉子3個に塩を振り、その中にサイコロに切ったアボカドを加え、良く混ぜます。
2.
20cmのフライパンに卵液を流し込み、適宜に切った貝柱を散りばめ、その上からパラパラと、とろろ昆布を置いていきます。
今回は白ご飯とルッコラを加えて、蓋をして弱火で焼きました。
食べるときは、お好みでマヨネーズやソースをかけて召し上がって下さい。
とろろ昆布の誕生、成分と効能、そしてダイエットレシピを紹介して参りました。
こんなに魅力的な食材であったのかと、驚かれた方が多いと思います。
ぜひ、今日から食卓に並べてみて下さい。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐 優です。
楽しく食事をとる。
家族で揃ってご飯を食べる、幸せなひと時。
そんな時間を作り出すのは、日々の美味しい食事です。
涼しくなってくると、「湯豆腐」の美味しい季節です。
昆布を敷いた鍋に、お豆腐と水を入れて火にかけて…。
ところでかつお出汁でも椎茸出汁でもなく、なぜ「昆布」なのでしょう?
それが、今回のテーマです。
諸説あるようですが、豆腐が大陸より伝えられたのは奈良・平安時代。
当初は、僧侶や貴族など、少数の特権階級が食べるものだったようです。
本格的に庶民が口に出来るようになったのが江戸時代、この時代になると、当時の料理本「豆腐百珍」や「守貞漫稿」では、湯豆腐が紹介されています。
湯豆腐の起源は、京都南禅寺の精進料理とされています。
お肉を食べない僧侶にとって、豆腐は大切なタンパク源。
皆さんもご存知の通り、精進料理は殺生を禁じられているいるため、出汁は鰹や煮干しではなく昆布・椎茸・大豆などを使います。
なぜ「昆布」なんだろう?と思った答えはここにありました。
現代においても、和食文化は精進料理からとても大きな影響を受けているのですね。
湯豆腐は、とてもシンプルな料理です。
大豆の味、水の味、昆布出汁の味。
どれも、素材の美味しさが決定的に重要です。
これらの素材の味は、とても繊細で優しいものです。
しかし、こういう繊細な物の中に、奥深い世界を感じられる日本人の感覚は、世界に誇れるのではないでしょうか。
関東では昆布・豆腐・白身魚・葱・醤油に浸した九条ねぎを薬味とし、そして鰹節を入れます。
なぜ湯豆腐を作ると、寄せ鍋や水炊きのような、何だか分からない物が出来上がるのか。
鱈とか春菊とか白菜やら白滝、他にも色々入れています。
関西では、あまり具を入れないのです。
京都では醤油をベースにした出汁でいただきます。
そして大阪。是非、皆さんに紹介したいお店があります。
天六にある、上川南店。
入口看板の「湯どうふ・二合銚子」の文字があります。
まず最初に感じるのは、山椒の香と厚めのおぼろが浮かんだこぶ出汁が絶品だということ。
これなら絶対、一丁豆腐がお勧めです。
次に「鉢巻」。
大きめのお銚子(2合銚子)にはしっかり赤い鉢巻が締めておられ、前述の湯豆腐様の「山椒の香とおぼろ昆布が浮かんだ昆布出汁」の価値感を、さらに高める絶対感をお持ちになっているのです。
変わり種の湯豆腐としては、「じゃがいも入り湯豆腐」などはお勧めです。
皮を剥いて輪切りにし、じゃがいもを鍋に入れ豆腐と共に食す。
薬味が決め手です。
これからいよいよ、湯豆腐の出番が多くなりますね。
美味しい湯豆腐で、体も心も温まりましょう。
こんにちは、昆布料理研究家 2014年度の昆布大使、岩佐優です。
11月15日は「昆布の日」なのです。
そこで今日は、冬の昆布鍋料理をお教え致します。
1.
エリンギは縦3mm幅に切る。
しめじは根元を切り、小房に分ける。
えのき茸は根元を切り、半分の長さに切ってほぐす。
2.
鍋に昆布水360m、白だし40mlを入れ、煮立ったら、①のエリンギ・しめじ・えのきだけを加えて煮る。
3.
火が通ったら溶き卵を回し入れ、フワッと浮いてきたらお箸でさっと混ぜ、火を止める。
4.
器に盛り、あさつきを散らす。
次は、昆布仕立ての湯豆腐感覚で食べれる「白身魚の小鍋仕立て」です。
1.
生の鱈は半分に切る。
2.
豆腐は半分に切り、しめじは石づきを除いて小房に分け、 えのき茸は根元を落としてほぐす。
せりは食べやすい長さに切る。
3.
小鍋に昆布と生姜を入れて、鍋の八分目まで水を加え、 酒大さじ2を加え、弱めの中火にかける。
4.
沸騰したら、昆布を除いてアクを取り、弱火にして豆腐と白身魚を加える。
5.
再びフツフツとしてきたら、さらに火を弱めてアクを取り、しめじ、えのき茸、せりを加え、サッと火を通す。
6.
ポン酢しょうゆ、七味とうがらし、細ねぎを添える。
※魚の身は昆布で締めているため、崩れずにいただけます。
※昆布水、昆布締めは過去のコラムを参照にして下さい。
いかがでしたでしょうか?
寒い冬に心と体を温める料理といったら、やっぱりお鍋ですよね。
昆布出汁を使った簡単でヘルシーな鍋料理を、ぜひ作って召し上がって下さい。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
冬の京料理にピッタリの野菜とは、何を思い浮かべますか?
これから寒い日が続く、身体の芯から温まりたい。
今回は、そんな日に欠かせない京野菜「京こかぶ」と、美味しい鍋レシピをご紹介いたします。
寒暖の差が激しい京都京北の地で育った「京こかぶ」は、真っ白い肌、美しい形状に加え、きめ細かで緻密な肉質、繊細な甘味を持った、まさに芸術品です。
「京こかぶ」は、お漬け物やかぶら蒸しをはじめとした京料理に欠かせない食材です。
また、小ぶりなので丸ごと使え、煮炊きやお漬け物はもちろんのこと、サラダでの生食等、手軽に幅広く利用出来ます。
さらに、炒めものなど、和洋を問わず様々な料理に応用出来ます。
葉の部分も美味しく食べることが出来るので、葉を細かく刻んでスープやふりかけなどでも応用出来ます。
根の部分には、主にビタミンCやカリウムが含まれています。
葉の部分にはビタミンB1やB2、カロテン、カルシウムなどが多く含まれています。
根も葉も食べて、栄養価をアップしましょう。
寒い季節ですと、「京こかぶ」を使った鍋料理は如何でしょうか?
もちろん、一般の蕪でOKです。
1.
かぶは茎を取って薄く皮を剥き、拍子木切りに切っておく(一口大でも乱切りでもOK)。
2.
お鍋を熱し、油を少々引いて鶏手羽に軽く焼き目をつける(皮の部分から焼いて下さい)。
3.
焼き目がついたら、お鍋に生姜と材料2を入れ、弱火で10分ほど煮る。
4.
鶏手羽に火が通ったら、京こかぶを入れて5分ほど煮る。
5.
京こかぶに火が通ったら出来上がり。
生姜が入っているので、身体の芯からホカホカになります。
いかがでしたでしょうか。
美味しくて、身体も温まり、そして栄養満点の京こかぶ料理をぜひ召し上がって下さい。
こんにちは、昆布料理研究家の岩佐優です。
今回は、鰹節と削り節の違いをご説明いたします。
出来れば自分でその都度削るのが理想ではありますが、削った物を買う時は、小分けパックをお勧めします。
と言うのは、削り節は削った瞬間から酸化が進み、30分もすればかなり違います。
大きい袋入りの物は、開けた瞬間から酸素が入り、いくら冷凍庫に入れても酸化します。
ちょっと高くても、小分けパックした物の方が酸化しなくて良いですね。
一般的に出汁を取るというと、出汁パックを使ったり、削った物を使ったりする方が多いと思いますが、裏を見ると「鰹節」や「削り節」等、表記が微妙に違いますよね。
実は理由が有るのです。
裏の原材料表示を見ると、「かつおのふし(国産)」とか、「かつおかれぶし」と書いてあると思います。
表示上は似ていますが、全く違うものを指しています。
簡単に言ってしまうと、前者の「かつおのふし(国産)」は、カツオを茹でて乾燥した物(荒節)を削った物で、製造期間は約1カ月くらいです。
後者の「かつおのかれぶし」は、カツオを茹でて乾燥した物に、更にカビ付けし熟成した物(枯節)を削った物です。
このカビによって、身のタンパク質が分解され、うま味成分のイノシン酸やビタミン類が生成されます。
製造時間は数ヶ月から長い物で2年以上です。
カビ付けし熟成した物と熟成していない物では、当然「うま味」の量が全く違うのですが、売っている削り節のパックは、ほとんどが前者の(荒節)です。
荒節の方が、削った時に見た目が綺麗で盛り付けに使われることも多く、安くて使いやすいお値段なので、普及しています。
ただし、旨味という点では少し物足りないかもしれません。
アミノ酸が少ない為、味にパンチはあるが、風味やまろやかさは鰹節に比べると欠ける点が挙げられます。
枯節は、お値段は高いですが、複雑で上品且つ深みのある味わいです。
原材料表示でいう「かつおのかれぶし」と書かれている方です。
このように産地が明記してある物は、ほとんどの場合「荒節」です。
このように枯節を削ったものには、産地表示が無い場合が多いのですね。
理由は、枯節は日本国内でしか作っていないため、国産なのが当たり前なのです。
誤解の無いように書きますが、荒節がダメというのではなく、一般的に荒節がメインで普及しているため、本当の鰹節の味を知らない方が多いのです。
違いを正しく理解し、使い分けるようになって頂けたらと思い、ご紹介しました。
また、一度専門店でじっくり相談しながら購入することをお勧めします。
普段使っている物とは違う美味しさに、巡り合えるかもしれません。
こんにちは、昆布料理研究家、2014年度の昆布大使の岩佐優です。
寒くなってきましたね。
立冬の頃から我が家のお味噌汁に入ってくるのが「生姜」です。
昆布との相性も良いので、お気に入りの薬味の一つでもあります。
また、漢方では生のものは「生姜(しょうきょう」、乾燥させたものは「乾姜(かんきょう)」と呼ばれており、その特徴は以下のようになっています。
生の生姜に含まれる、辛味成分のジンゲロールがもたらす温め効果は抜群。
体を即座に温め、発汗を促し熱を出してくれます。
風邪の引き始めのぞくぞくと寒気がした時や、手足の冷えが気になる時にお勧めです。
乾燥生姜には、血流を高め深部の熱を作り出す働きを持つショウガオールが多く含まれます。
体を芯からじんわりと温めてくれるので、慢性的な冷えを感じる人や、体の芯から温まりたい時にお勧めです。
生姜をスライスして天日干しをしておくだけで簡単に作る事が出来るので、我が家の常備品の一つとなっています。
なお、生姜の一日の摂取の目安は10g程度と言われています。
これはスライスなら5~6枚程度、すり下ろしなら小さじ1杯程度です。
寒い日にはお椀にプラスして下さい。
すり下ろしを乗せて使うも良し、乾燥したものを煮出して使うも良し。
体の声を聞いて使ってみて下さいね。
そして、味噌汁といったら白ごはん。
お寿司屋さんのシャリが美味しいと思いませんか?
実際に美味しいのです。
その理由は、多くのお寿司屋さんでは、シャリを炊くときに出汁昆布を入れているそうです。
しかしこれまでは少しだけ問題がありました。
それは直接出し昆布をお米に入れて炊くと、シャリは美味しくなるのですが、出し昆布の周りだけ色がつき、昆布臭くなります。
お店によってはその部分は賄いに使うそうですが、仕方なく化学調味料をお使いになるお店もあるそうですね。
ところが昆布水でご飯を炊くと、満遍なくご飯が炊きあがります。
最近は、昆布水でご飯を焚かれるお店が急増しているそうです。
近年、新米の出回る時期が早くなってきたと思いませんか?
九月には新米をいただきましたが、水加減が新米の間は少し難しいですね。
古米を昆布水で焚かれますと、薄く色はつきますが本当に美味しく炊けます。
味覚の復活はまず美味しいご飯を、体が覚えることから始めましょう。
昆布水で炊いたご飯で、おにぎりを作るとたまりません。
ご家族に黙って、昆布水でご飯を炊いてみて下さい。
きっと「最近お米を変えたの?」と言われること請け合いです。
こんにちは。昆布料理研究家、2014年度の昆布大使の岩佐優です。
今日はフランス・イタリアなど、世界の出汁についてご案内いたします。
私が得意とするのは日本料理とフレンチです。
そう、「出汁が全て」「ソースが命」と言われる料理です。星の数ほどソースがあります。
その多くのソースのベースが出汁なのですが、現場で使う出汁の種類は基本5~6種類です。
それを様々な素材と合わせて変化をさせていきます。
ですので、出汁の時点では、シンプルに素材の旨みが味わえるものの方が、都合が良いのです。
フレンチで言えばソースのベースになるフォン。
スープや煮込み料理のベースになるブイヨン。
イタリアンではスーゴやブロートとなりますが、基本は全く同じものです。
あとは、どういう料理に最終的に仕上げるのかをイメージして、ハーブや酒、香辛料、フルーツを加えてみたりと、変化をさせていきます。
洋食の出汁は、肉(魚)と野菜の出汁。
和食の「鰹と昆布の一番出汁」と同じく、グルタミン酸とイノシン酸の出汁ということになりますが、その味わいは全く違うものです。
洋食のだしは厚みがあるゼラチン質の旨みの出汁、分かりやすく言えば、旨みはあるが「ボーッとした味」の出汁。
そのためフレンチの味付けは、様々な調味料、ハーブなどを使い、アクセントをつけて仕上げていきます。
日本料理のものと違って、骨も叩き割って長時間煮込んで、初めて抽出できる出汁です。
だから冷えた洋食の出汁は、肉も魚もゼラチン質で固まるものが多いのです。
一方、日本食で一番ポピュラーな「鰹と昆布の一番出汁」は、厚みはないがすっきりとした、旨みのキレが強い出汁なのです。
ポトフなど味がボーッとしがちな料理に、日本料理の出汁を加え、アクセントをつけて仕上げる。
無意識に行っていたこの行為は、仕事をしていくうちに何故なのかを理解出来るようになりました。
もしご家庭で「いまいち何か味が足りない気がする」「味がぼやけている」と感じた時は、日本の出汁を加えるときゅっと引き締まるかもしれません。
「洋風の出汁は厚みがあるが、キレが無い」「日本料理の鰹と昆布の出汁は、キレはあるが、厚みにかける」ということを裏付けるような、科学的な成分データが存在しています。
出汁(UMAMI)には個性がある、その個性をちゃんと理解し、補完しあう組み合わせを考える。
これをしっかり自覚していれば、「味付けの迷路」に迷い込むことがないのです。
出汁(UMAMI)の個性をしっかり理解して料理を作る。
家庭料理であろうと、プロの料理であろうと、それを認識する必要があります。
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